亡くなった愛猫が「毛皮を着替えて帰ってきた!」→でも性格は真逆「どうやら別の猫だったのでは」 雨に歌うソングくんの物語
愛猫を亡くすと、「毛皮を着替えて帰ってきてほしい」と願う家族は多いもの。愛知県のAさんも、2021年10月11日に見送ったぴょん吉くんが毛皮を着替えて帰ってくるのを待っていました。

しかし、現実的に考えて、そんなオカルトじみたことは起きるわけがありません。起きるわけがないと理解しているのに、ぴょん吉くんの遺影を見るにつけAさんの思いは募っていました。万が一、帰ってきたときのため、未だベッドやおもちゃは捨てることはできません

ぴょん吉が帰ってきた!

ぴょん吉くんが旅立ち、約8カ月が経った2022年6月24日夜のこと。Aさんは金曜日ということもあり、のんびりと家で過ごしていました。そんな時、どこからともなく子猫の鳴き声が聞こえてくるではありませんか。

「ぴょん吉が毛皮を着替えて帰ってきてくれた!」

Aさんは直感的にそう感じたのだそう。迎えに行くため、すぐ家から飛び出しました。ぴょん吉くんはずっと家の中で暮らしていたので、迷子になっていると考えたのです。この日は子猫が隠れている場所を確認し、次の日、捕獲機をレンタルして子猫を無事に保護。月曜日から大雨の予報でしたので、間一髪助けることができました。

実はAさん、保護するまで子猫の姿を見ていなかったのです。ドキドキしながら捕獲機をのぞき込みました。ぴょん吉と同じくシルバータビーの子かと思いきや、クリーム虎の子猫。

「やっぱり毛皮を着替えて帰ってきてくれたんだ!」

Aさんの胸は高鳴りました。

胸は高鳴るものの冷静を装い、すぐ警察と保健所へ届け出。近所の人にも、子猫が迷子になっていないか聞いてまわりました。

不安を「雨に唄えば」

月曜日からは、予報通りの大雨。子猫は不安なのか、窓の外の雨を眺めながら鳴くのです。それが何だか歌を歌っているかのよう。「雨に唄えば」だなんて、名作ミュージカル映画のようですが、実際はロック調。激しくシャウト!

この様子を見たAさんは、子猫の名前を「ソング」としました。

名前は決まったものの、元の飼い主が現れるかもしれません。それがAさんの不安でした。ソングくんの不安とAさんの不安、それをかき消すようにソングくんは雨に歌います。雨音とソングくんの歌声だけが、家に響きました。

火曜日になっても、誰からも連絡はありません。3日以上、警察にも保健所にも届け出を出さない飼い主なら、もう家の子にしてしまっても良いのではないか。そう考えたAさんは、ソングくんを連れて動物病院へ。診察券を作り、そこに書いてもらったのです。「A家ソング」と。

遺品で撫でると…

動物病院で分かったのは、ソングくんが生後約2カ月ぐらいだということと健康体ということ。目ヤニが少しありましたが、毛艶も良く食欲もあります。Aさんはぴょん吉くんが使っていたお皿を約8カ月ぶりに取り出し、そこにご飯をよそいます。ソングくんは喜んで完食。

それからまた歌うのです。しかも叫ぶように。まだ母猫の温もりが恋しい月齢だからでしょう。Aさんが撫でても、ソングくんは歌い続けます。これではいくら体力があっても、どんどんと疲弊していくはず。

ふとAさんは、ぴょん吉くんが使わなかった物を思い出しました。それは「猫しゃもじ」。ザラザラとした表面のしゃもじで、猫の舌のよう。ぴょん吉くんは気に入らなかったのですが、もしかすると良いかもしれない。これでソングくんを撫でることにしたのです。

するとソングくんは、歌うのを止めました。その代わり、今度は喉をゴロゴロと鳴らすように。とても気持ちが良いよう。ぴょん吉くんの遺品をソングくんが喜んでくれることに、Aさんは目頭が熱くなりました。

生まれ変わりじゃないみたい

猫のいない生活に慣れさせない

ソングくんを迎え半年以上が経過し、Aさんは思うことがあるのだそう。それは、「猫がいない生活が退屈そうだから、ぴょん吉くんがソングくんを送りこんだ」ということ。そう思うことで、ぴょん吉くんと今も暮らしている気持ちになるんですって。

ソングくんはそんなAさんの思いを知ってか知らずか、ぴょん吉くんのお気に入りを大切に使ってくれています。ボロボロなのに捨てさせてくれないんですよ。

ぴょん吉くん、もう大丈夫だよ。Aさんは元気にソングくんと暮らしていくからね。見守ってちょうだいね。

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)

まいどなニュース

PETLIFE24事務局2023.03.24

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