初めての高齢犬介護、生活空間の作り方は 獣医師に聞く転倒防止グッズやベッド、食事方法【ペットドクター相談室】
14歳の老犬です。徘徊、夜泣きが凄いのですが、時には同じ所を勢いよくくるくる周り始めて、そのうち目が回って倒れてしまいます。また回り始めるのですが、そのような時は止めた方がいいのでしょうか? ケージに入れるのもかわいそうでリビングで自由にさせているのですが、ケージに入れた方がいいのでしょうか?初めての老犬介護に戸惑っています。宜しくお願い致します。(ヨークシャーテリア、ゆきさんの相談)

【お答えします】福井県獣医師会 開業部会
かわぐち
動物病院(福井県勝山市)川口真理子獣医師

 ◆  ◇  ◆
 ご質問ありがとうございます。高齢のワンちゃんがくるくる回ったり、夜泣きをしたりする場合、犬の認知症「認知機能不全症候群」の可能性が考えられます。また、脳に器質的な障害(脳腫瘍、脳萎縮など)がある場合にも同じような行動が見られることがありますが、こちらについては過去記事で回答しておりますので、ご参照ください。

 今回は、高齢犬の介護について少しお話させていただきます。

◆トイレや食事、転倒防止…高齢犬の介護方法は?

【生活空間/円形サークルを使って移動負担減らして】
 ウロウロと歩き回る行動、角や隙間で行き詰まる場合には、ぶつけたりしないよう生活空間を整えるか、円形サークルを導入し生活空間を制限することでその危険を減らすようにします。広いリビングにそのままだと、どこかに挟まって動けなくなる可能性があります。寝場所、食事/水飲み場、トイレはある程度の広さにまとめ、移動の負担を減らすと良いでしょう。

【転倒防止にはグッズや敷物、排せつ失敗ならおむつ検討を】
 ふらつきや転倒がみられる場合は、足に着用する滑り防止グッズや、ヘッドギア、滑り止め効果と衝撃吸収性のある敷物で転倒を減らすとともに、安全性を高めます。排泄の失敗がある場合はオムツの使用を検討してください。

【ベッドは何がおすすめ?食事は台やスプーンで補助】
 寝返りが難しい場合や
褥瘡床ずれ)ができた場合などは、体圧分散性の高いマットを使用します。食事については、首を下げた姿勢が辛くなったら食事台を導入し、自力で口に運ぶのが難しくなったらソフトスプーンやシリンジで家族の介助が必要になります。

◆「認知機能不全」の進行を遅らせるには…
少しでも認知機能不全の進行を遅くするために、犬にとって適度な刺激と運動になることを日々の生活の中にとりいれると良いでしょう。いつもと違う経路の散歩、リハビリテーション、知育玩具を使った遊び、コマンドトレーニング、ご褒美におやつを使った遊び、おやつを使った探索行動、日光浴(特に朝)などがおすすめです。

 夜泣きの対応など飼い主様にとってご負担になる場合もあるかと思います。お一人で抱え込まずに、長い間共に過ごしてきた家族との残りの時間をお互いが少しでも快適に過ごせるように、かかりつけの動物病院へご相談されることをおすすめします。

◆ペットの悩みや疑問 相談してみませんか?

「ペットドクター相談室」は、ペットの悩み事や疑問、不安をネット上で募り、福井県内の獣医師が回答するコーナーです。寄せられた相談は、県内35の動物病院が所属する福井県獣医師会で、小動物の診療に携わる「開業部会」の獣医師が回答します。

福井新聞社

PETLIFE24事務局2023.02.27

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