ずっと寝てるけど…犬の「睡眠時間」はどのくらい? 病気が隠れていることも? 獣医師に聞いた
「うちの犬、ずっと寝てるな…」。愛犬に対し、多くの人が一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。起きているときは走り回ったり、たくさんご飯を食べたりと元気な様子でも、昼夜問わず長時間寝ていると「もしかして具合が悪いのかな」「ちょっと心配…」と感じる飼い主も少なくないようで、「本当に体調が悪いときに気付くのが遅れたら…と思うと不安」「どのくらい寝ていたら“寝過ぎ”なの?」などを気にする声もあります。


成犬の平均的な睡眠は12?15時間ほど

Q.実際のところ、犬は「よく寝る」動物なのですか。

増田さん「『犬が寝ている姿を目にすることが多い』と感じる人は多いと思います。実際、成犬では平均睡眠時間が12?15時間ほどといわれているため、1日の半分以上を睡眠に充てていることになります。幼犬ではさらに睡眠時間が長めで、1日トータルで15時間以上寝ています。また、老犬の場合も睡眠時間が伸びる傾向です。

体格によっても睡眠時間に差がみられ、小型犬より大型犬の方が長めになることが多いようです。その理由の一つとして、運動時のエネルギー消費の差が関係しているといわれています」

Q.「愛犬がずっと寝ている」様子を見て、心配する飼い主もいるようです。犬の睡眠時間や様子から、体調不良や病気を疑うためのポイントはありますか。

増田さん「ひと口に睡眠時間といっても、1回にまとまった睡眠を取る犬もいれば、何度かに分けることを好む犬もいます。人間でも推奨される睡眠時間がありますが、それに加えて睡眠の質が重要といわれます。

同じように犬も、睡眠に何らかの問題がある場合は体調不良を引き起こすことがありますし、反対に、体調不良が原因による睡眠の変化もみられます。例えば、老齢犬の認知機能低下に伴う昼夜逆転や、循環器や呼吸器に問題が生じた場合は、息苦しさから安眠できなくなる例もあります。

犬に、普段と異なる睡眠の様子がみられるようであれば、早めにかかりつけの動物病院に相談することをお勧めします」

Q.犬にとっての「快適な睡眠環境」とはどのようなものですか。

増田さん「犬が睡眠に求めるものとして、『静かな環境』『周囲が適度に囲われた場所』が挙げられます。個々の好みはありますが、床材が硬く、冷えるような場所は、睡眠には適さないといえるでしょう。そのため、毛布やクッションなどによる保温性と、関節に負担のない床材を選ぶことが推奨されます。

また、季節による寒暖の差にも要注意です。特に冷え込みが厳しい時期には、ペット用のヒーターを使うことがありますが、幼齢や高齢の犬、また体温調節機能が低下している可能性のある犬の場合、低温やけどを起こす恐れがあるので、注意が必要です。

なお、犬が睡眠を取るときに快適な温度は、夏場で24?25度、冬場で22?23度くらいです。睡眠の様子を観察し、室温の調整をしてみてください」

Q.その他、犬の睡眠に関して、飼い主が意識・注意した方がよいこととは。

増田さん「安静にしているときの呼吸の回数に注目してみるとよいかもしれません。一般に、小型犬で1分当たり20?30回、大型犬では1分当たり15回くらいとなります。腹部や胸部の膨らむ回数を数えますが、30秒間に何回呼吸しているかを数えて2倍してもよいでしょう。睡眠時に呼吸回数が多い場合は、安眠できていない可能性があります。明らかに普段と比べて睡眠時間が異なり、元気がない場合は動物病院で診察を受けましょう。

また、全身がリラックスできていて、けいれんや、力みがないかどうかも合わせて確認してみましょう。私たち人間も、しっかり寝ているときに大きな音で目が覚めることがありますが、そうした場合は目覚めがスッキリしないことがあります。犬も、寝ているときは大きな物音を立てないよう、時折寝ている様子を観察してみてください。気持ちよく眠っている様子は、私たちの癒やしにもつながります」

オトナンサー編集部

PETLIFE24事務局2023.02.24

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