愛するペットの頬に穴が空くことも…「犬のお口が臭う…」と感じたら、やらなければいけない対策

犬・猫は虫歯にならない

 「犬や猫も虫歯になりますか?」とよく聞かれる。結論から言うと、犬や猫は虫歯になることはほとんどない。食事内容や歯の形、唾液のpHの違いにより、人と比べて虫歯になりにくいのだ。

 その代わりに非常に多いのが「歯周病」だ。犬では3頭に1頭が歯周病にかかっていると言われている。口腔内の細菌によって引き起こされる点は同じだが、歯そのものが溶かされる虫歯と違い、歯周病では歯周病菌が出す毒素によって歯肉や歯槽骨といった歯を支える組織が壊され、歯が抜けてしまう。大切な愛犬や愛猫の歯周病のセルフチェックや予防法、治療法について知っておきたい。

「うちの子は歯周病?」チェック方法と治療

 以下のチェック項目に一つでも当てはまるなら歯周病にかかっている可能性が高い。

 ・歯垢や歯石がついている
・口の臭いが気になる
・歯肉が赤い、血が出る
・硬いものが食べられない
・口周りを触ると嫌がる

 見た目の汚れだけでなく、口臭や歯肉の赤みが細菌の増殖の目安になる。放っておくと歯が抜けてしまうだけでなく、頬に穴が開く
外歯瘻という状態になったり、心臓病や腎臓病、気管支炎などの全身疾患に繋がったりすることもある。セルフチェック項目に当てはまるものがあれば、動物病院で診てもらおう。

 歯周病を根本的に治療するためには、麻酔をかけて歯石と歯垢を除去するスケーリングという処置が必要だ。持病があるなどの理由で麻酔がかけられない場合は、歯周病菌に対して
抗生物質を内服したり、歯周病菌の増殖を抑えるサプリメントを使ったりすることもある。

 ペットサロンなどで無麻酔で歯石をとる処置をしていることがあるが、それでは見た目の汚れが取れるだけで歯周病の改善にはならない。歯周病菌の多くは嫌気性菌といって酸素が無い環境で繁殖する性質があり、歯と歯肉の間の歯周ポケットの中に隠れているからだ。麻酔をかけたスケーリングで歯の裏側や歯周ポケットの中まで洗うことが大切なのだ。

歯周病の予防法

 予防には当然、歯磨きが有効だ。歯ブラシで歯周ポケットの中まで磨くのが一番だが、歯ブラシを嫌がる場合は歯磨きシートや手袋などで歯の表面を優しく擦ってケアしよう。犬猫用の歯磨き粉やデンタルジェルには、歯垢をつきにくくしたり細菌の増殖を抑えたりする効果があるため使用したほうがいい。

 ペットが口を全く触らせてくれない場合は、デンタルガムや歯磨き用のおもちゃなどを噛ませてもいいが、誤飲しないようサイズや素材には注意が必要だ。また、牛のひづめのおやつのような、硬すぎるものは歯がかける原因となるためおすすめしない。

最後に。日常的にケアをしていても、人間と同じように隅々まで行き届いた歯磨きを犬や猫がすることは難しい。定期的に動物病院で口の中を診てもらい、必要な処置を相談してほしい。健康な身体は、健康な口の中からである。

吉田 優

PETLIFE24事務局2023.01.18

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