園内に絵本美術館開設 記念映画製作も 来月開園80年の大牟田市動物園
大牟田市動物園(福岡県大牟田市昭和町)が10月1日で開園80年を迎える。記念行事の一環として、市は園内に動物にちなんだ美術館「ともだちや絵本美術館」を開設し、施設の機能充実を図る。さらに動物園は、クラウドファンディングで集めた資金で、コンセプトとして掲げる「動物福祉」をテーマにドキュメンタリー映画の製作を始める。

原画千点を収集

大牟田市動物園は昭和16年10月に開園、同31年に有料化した。市民らの憩いの場として長く親しまれてきたが、平成15年ごろには入園者数が減少。市は一時、廃止の方針を打ち出したが、反対の署名運動が起きて撤回。その後、民間の指定管理業者に業務を移管。新たな動物園を目指し、さまざまな取り組みをしてきた。その結果、入園者数が28年度に年間25万人を記録し、近年も20万人前後で推移している。

市は「観光都市ではない大牟田で最大の集客施設。しかも8割は市外からの来園」として、駐車場の規模を拡充するなど、動物園の機能強化を図ってきた。

「ともだちや絵本美術館」開設も動物園の機能強化の一環で昨年から、動物園の東側にあった市老人福祉センター跡に木造平屋の美術館(616平方メートル)を建設していた。東京や大阪の絵本作家など17人から寄贈を受けた約千点の絵本原画を収集・展示する方針。その中には、同市出身の内田麟太郎(りんたろう)さん作のロングセラー絵本「おれたち、ともだち!」シリーズも含まれる。同シリーズは、キツネとオオカミの友情をつづる物語で、躍動感にあふれる絵が魅力だという。

美術館では、集まった絵本原画を約60点ずつ展示する常設展示室をはじめ、休憩室や幼児に読み聞かせができる部屋も設け、動物園ならではの企画展や講演会などを開催する予定だ。

テーマは動物福祉

大牟田市動物園のコンセプトは「動物福祉を伝える動物園」。動物たちが環境と調和しながら、心身ともに健康に過ごしていけるよう、二つの取り組みをしている。その一つが「環境エンリッチメント」で、エサの与え方や遊具の設置などを工夫して、飼育環境を豊かにしている。

もう一つは「ハズバンダリートレーニング(受診動作訓練)」。治療や投薬を行いやすい体勢を動物に覚えさせるトレーニングで、ライオンやトラなどに麻酔なしで採血、体重測定などもできるようになったという。

動物園が今回、「動物福祉のことをもっと知ってほしい」と取り組んでいるのが、ドキュメンタリー映画の製作だ。6月20日からクラウドファンディングで、330万円を目標に資金を募集したところ、全国の295人から557万3500円が寄せられた。監督はドキュメンタリー映画監督の小川光一さんが務め、今後1年がかりで製作し、市内の小中学校にDVDを贈ることにしている。


PETLIFE24事務局2021.10.12

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