竜之介動物病院（熊本市中央区）は、新型コロナウイルスに感染した人のペットを有料で預かるサービスを提供している。同市では感染後に自宅療養をしていた５０代の男性が「飼い猫の預け先がない」として入院を拒み亡くなった事案も起きており、同病院は「飼い主の命を守るためにも、相談してほしい」と呼び掛けている。

　同病院は昨年７月から感染者のペットを預かっており、これまで約２０人の感染者から、犬や猫のほか、ハムスターやウサギなどのペットを預かっている。感染の「第５波」でさらに問い合わせが増えているという。

　飼い主などから電話で依頼を受けた後、防護服を着用した病院スタッフが直接自宅を訪ね、玄関先などで感染者と極力接触せずに引き取る。預かるのは個体のみで、ケージやエサ、おもちゃの準備は必要ない。

　病院では預かり後２日間、隔離室で健康診断をして様子を見た後、体調に問題がなければシャンプーをし、専用の部屋に移す。費用は小型で１日３３００円、大型は１日４４００円。期間や飼い主の居住地などに制限はない。１日に５０頭ほど預かりが可能という。

　１人暮らしで身近に預け先がない人だけでなく、近くに親族がいても感染を恐れて預かるのを拒否する例もあるという。徳田竜之介院長は「ペットを介して感染した例はない。飼い主として自分が何かあった時の対策は考えておくべき。手遅れになる前にぜひ相談をしてほしい」と話している。

　同病院ＴＥＬ０９６（３６３）００３３。（志賀茉里耶）